土こうじを仕込んで6日目。
第3回目の切り返しを行いました。
(ブログにはアップしておりませんが昨日第2回目の切り返しをしています。)

切り返し前の温度もしっかり50度近くまで上がっています。
発酵後期になると、初期に感じられた甘い香りから、
湿気臭いような、かび臭いような香りに変わってきます。
(縁の下の臭いに例えられます。)
これは仕込み初期はコウジ菌が繁殖してデンプンをブドウ糖に変え、
そのブドウ糖を酵母菌が高級アルコールに変えることで甘い芳香が感じられるのですが、
後半になるとコウジ菌や酵母菌が生み出した糖質やアルコール、アミノ酸等をエサに放線菌が増殖するためです。
端的に表すと土こうじは以下の段階を経て完成に至ります。
@ コウジ菌が繁殖してデンプンをブドウ糖に分解する
A 酵母菌が繁殖してブドウ糖を高級アルコールに分解する
B @、Aにより生成した糖質や高級アルコール、その他アミノ酸等をエサにして放線菌が増殖する
(※実際には納豆菌、乳酸菌、その他土着の微生物が複雑に関与しながら有機物の分解が進みます。)
土こうじは最終的に山土に放線菌を増殖させることが最大の目的なのです!
放線菌は野山に普通に存在する微生物です。
放線菌の中には抗生物質を産生する種類が多く、抗生物質として有名なストレプトマイシンも
ストレプトマイセス属の放線菌が産生します。
自然界においても放線菌が病原菌の活性・増殖を抑えることがわかっています。
土こうじ最大の狙いは放線菌により病害微生物の繁殖を抑えることにあります。
もちろん、土こうじ中には放線菌のみならず酵母菌をはじめとする様々な有用微生物が増殖しています。
有用微生物が産生した発酵生成物(アミノ酸、核酸、ビタミン類、植物ホルモン様物質…)が作物の根張りや生育を良好にします。
連作や化学肥料の経年使用により荒れ、地力が低下した圃場では、生息する土壌微生物が少なく、かつ種類も単純化しています。
このような土壌に土こうじを施用することにより、病原菌の繁殖を抑えるとともに土壌微生物の数も種類も豊かにします。
土壌微生物が豊かになり、そのバランスも改善されれば土壌中の未利用養分も微生物により分解され、作物が利用できるようになります。
このような土こうじの作用は疲弊した圃場や開墾後間もない圃場でとくに効果を発揮します。
作物が作りにくくなった、地力が落ちたと感じたら、堆肥の施用とともに、土こうじの利用も検討してください。
さて、実際の仕込み作業に話を戻しますと、3回目の切り返しが終わったら土こうじの完成です。

定植前の圃場に鋤き込んだり、定植済みの圃場であればベッドや通路に散布してください。
保存する場合は薄く広げて温度を下げつつ乾燥させることで発酵を止め、長期保存が可能になります。

完成後は薄く広げて小山にすることで乾燥を促します(※写真は発酵肥料です)。

バイム農場では現在講習会で仕込んだ高級粒状肥料や鶏糞粒状肥料を乾燥中で倉庫のスペースがないため、ひとまず山を低くして対応しています。
肥料の乾燥が済んだら、空いた場所に土こうじを広げて乾燥させる予定です。
(山添)